コンドロイチン

コンドロイチン

コンドロイチン硫酸(コンドロイチンりゅうさん、chondroitin sulfate)は、動物体内にみられるグリコサミノグリカン(ムコ多糖)の一種。通常、コアタンパク質と呼ばれる核となるタンパク質に共有結合したプロテオグリカンとして存在する。特に軟骨の細胞外マトリックスにアグリカンと呼ばれるプロテオグリカンとして多く存在するが、皮膚などの結合組織、脳などあらゆる組織に広くみられる。

 

D-グルクロン酸 (GlcA) と N-アセチル-D-ガラクトサミン (GalNAc) の2糖が反復する糖鎖に、硫酸が結合した構造を持つ。この「GlcA-GalNAc」2糖単位の中で硫酸基の付加やエピ化(GlcA からイズロン酸)で構造の著しい多様性がある。生体内に見られる長いコンドロイチン硫酸鎖には、一本の鎖で均一にすべての2糖単位が同じ構造(例:コンドロイチン6硫酸構造)をしているというものはほとんど存在しないといってもよい。このことは、多くの生化学や細胞生物学の教科書において誤解を与える記述がなされており注意を要する。

 

硫酸基の位置は、GalNAc の4位に硫酸がついたコンドロイチン4硫酸(コンドロイチン硫酸Aともいう)、コンドロイチン6硫酸(コンドロイチン硫酸C)が主なものである。GalNAc 4位の硫酸化がみられるデルマタン硫酸(dermatan sulfate、コンドロイチン硫酸B)は、コンドロイチン硫酸の GlcA がエピ化し、イズロン酸となっている。コンドロイチン硫酸の中には、4位、6位の両方が硫酸化されたコンドロイチン硫酸Eや、グルクロン酸やイズロン酸のヒドロキシル基が硫酸化されたoversulfatedな構造もしばしばみられる。これらの構造の変化や存在比は、プロテオグリカンの種類、動物種、組織、発生段階、病気によって違ってくる。例えば、哺乳類の皮膚にはデコリンと呼ばれるプロテオグリカンにデルマタン硫酸構造が豊富に見られる。哺乳類マスト細胞には、コンドロイチン硫酸Eが多く存在する。サメの軟骨には、グルクロン酸の2位に硫酸基が付加したコンドロイチン6硫酸(コンドロイチン硫酸D)が多い。また線虫には、硫酸化されていないコンドロイチンがみられる。コンドロイチンは、ある種の細菌によっても合成されている。

 

コンドロイチン硫酸のコアタンパク質への付加は、キシロース、ガラクトースを含む構造をしている。